イベント情報

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2012蔵見学会

広島県蔵元酒造見学会

2012年2月25日(土)

蔵元 藤井酒造

広島県酒造組合では、毎年1月から3月の新酒の仕込み時期に広島県の蔵元を見学する『蔵見学会』が行われています。

今年は、賀茂泉酒造(東広島市)、酒類総合研究所(東広島市)、三宅本店(呉市)、西條鶴醸造(東広島市)、藤井酒造(竹原市)、亀齢酒造(東広島市)、賀茂鶴酒造(東広島市)、原本店(広島市)の8蔵で開催。その中から2月25日(土)に行われた藤井酒造の見学会をご紹介します。

藤井酒造は、文久三年(江戸末期)の創業以来、酒造り一筋で現在にいたる蔵元です。現在も当時のままの蔵で酒造りを行っており『酒蔵交流館』として蔵の一部を開放しています。

館内は、酒造り道具の展示や無料の試飲、お酒の販売、関連グッズやお酒を使ったお菓子などの販売を行っています。また「手打ちそば処 たにざき」も併設しており、本格手打ちそばと藤井酒造のお酒を楽しめます。

今回の藤井酒造の蔵見学は、定員12名。キャンセル待ちが出るほどの人気ぶりです。中には、岡山から参加された女性もいました。

蔵を案内していただくのは、五代目蔵元の藤井善文さん。丁寧に蔵内を案内してもらい、その後はMyぐい呑み作り。講師は、安芸区畑賀で陶房をかまえている『山法師(やまぼうし)』の田部光二さんと奥さんです。

最後は、「手打ちそば処 たにざき」で日本酒と日本酒に合うお料理を味わうという盛りだくさんの内容になっています。

蔵見学 こだわりの酒造り

蔵見学初めに『洗米』、『浸漬』、『蒸し』の説明を受けます。酒造りで最も大事といわれる『蒸し』は、藤井酒造では機械を使わず、昔ながらのこしきで時間を掛けて蒸します。こだわりをもって人の手をかけているそうです。

それから、乾燥させている麹をひとつまみ試食しました。噛むほどに甘くなり、麹の糖化力を実感。麹の種類には、『畄』『仲』『初添』などがあり、良い麹はキノコや栗の香りがするそうです。

それから『酒母(しゅぼ)室』に移りました。現在藤井酒造では、酒造りの技法の中でもっとも伝統的な造り方である『きもと造り』に力をいれています。


もろみのタンク

もろみのタンク「タンクの中に落ちないようにくれぐれも注意してください」と藤井さん。アルコール発酵によって炭酸ガスが発生していて、落ちると窒息などの事故につながることもあるからです。

「香りは顔を近づけるのではなく、手を自分のほうに寄せてかいでください」と念を押されます。

はしごを登りタンクの中をのぞくと、ブクブクと泡が盛り上がっています。落ちないように、隣のタンクものぞきます。熟成度合いによって発酵具合が全く違うようです。

本日、杜氏をはじめ蔵人はお休みで酒造りの作業は見れず残念でしたが、蔵内は静粛な中にも独特の神聖な空気が張りつめていました。

Myぐい呑み作り

Myぐい呑み作り蔵見学を一通り終わった後は、それぞれ好きな形のぐい呑みを作ります。「規制などはないので思い思い好きに作ってください」と講師の田部さん。焼きあがりは、少し小さくなるので焼きあがり後の大きさを踏まえながら作っていきます。

簡単なようでなかなか思い通りの形になりません。「先生〜。直してもらっていいですか?」「広がりすぎちゃいました〜」と先生に少し助けてもらう方もいます。最後は白・黄色・黒と好みの釉薬の番号と名前やマークを紙に書きます。

焼きあがりは1カ月後。少しくらいいびつでも自分の作ったぐい呑みで飲むお酒は格別ですね。

Myぐい呑み作り


併設されている「手打ちそば処 たにざき」で懇親会が行われました。

日本酒が体にいいワケ大きな丸テーブルに、参加者全員とMyぐい呑み作りでお世話なった講師の田部さん夫妻が座ります。お刺身や天ぷらなど日本酒に合うお料理が運ばれ、この仕込み時期、蔵元でしか味わえない泡汁(あわじる)もいただきました。

泡汁は、日本酒になる前の発酵中に出る『もろみ』の泡を、人参、だいこん、焼鮭、こんにゃく、ねぎなどの野菜が入った味噌仕立ての汁の上にのせて食べます。

ふわっと良い香りが絶妙です。粕汁よりさっぱりしている印象。みなさん「おいしいおいしい」とペロッと平らげ、体の芯まで温まりました。


龍勢、活濁酒、泡汁

参加者の声

参加者の声「最初から最後まで日本酒を楽しみ、味わいつくす感じがしました。大満足です」

「普段見ることの出来ない蔵の中に入り、もろみの熟成を見ることができたのが貴重な体験です。活濁酒をはじめ冷から燗までいろんな温度帯を味わえ、とても贅沢な一日でした」


取材後記

活濁酒一歩足を踏み入れると、甘く優しい酒粕の香り。「わぁ〜!いい香り〜!」と思わず口に出してしまうほどです。館内は酒蔵の雰囲気に合った内装や小物にセンスの良さが光っていて、蔵内の凛と張りつめた空気に鳥肌が立つほど。

藤井酒造さんのお酒に対する想いやこだわりを説明してもらい、ますます日本酒が好きになりました。とても充実した良い時間を過ごせました。

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