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2019年4月10日リポート

「2019年度蔵見学会」の模様をUPしました。

2019年2月23日(土)

広島県酒造組合では、毎年新酒の仕込みの時期に広島県の蔵元を訪ねる「蔵見学会」を実施しています。今年は2月16日(土)の賀 茂泉酒造(東広島市)からスタートし、亀齢酒造(東広島市)、三宅本店(呉市)、賀茂鶴酒造(東広島市)、藤井酒造(竹原市)の5つ の蔵で行いました。その中から、2月23日(土)の亀齢酒造の見学会の様子をご紹介します。

亀齢酒造の酒は、古くは「吉田屋の酒」と親しまれ、明治の初め、鶴は千年、亀は万年の言葉にあやかり、長寿と永遠の繁栄の願い を込めて亀齢と命名されました。大正6年の全国清酒品評会では、日本初の名誉賞を受賞するなど優れた醸造技術で知られています。 以降も名だたる品評会で金賞、銀賞を受賞するなど名酒を送り出してきました。

今回の蔵見学会は女性限定で13名の方が参加。当日は、石井英太郎社長から酒造りのお話を聞いた後、副杜氏の東さんの案内で第五号蔵を見学、試飲や買い物を楽しんで、最後に「割烹 掬水(きくすい)」で、社長や女将も交えて昼食を食べながら懇親会というスケジュールで行なわれました。

日本酒の定義や製造工程

まずは石井社長から酒造りについてのお話がありました。「酒造りは10月に新米を収穫し、酒造りを始めます。酒という字からさんずいを取った酉という字は、十二支の10番目。お酒と10は切り離せない数字です」と、酒にまつわる興味深い話に、参加者の皆さんも引き込まれます。

続いて日本酒の定義や製造工程について。お米がどうやってお酒に変わるのか不思議に思っている人も多いかもしれません。米のでんぷんを糖に変える糖化、その糖を酵母菌が食べてアルコールを発生させる発酵。この2つを経て日本酒が出来上がるとのこと。しか も日本酒は、この2つの工程が、1つのタンクの中で同時進行にて行われる、世界的にも素晴らしい技術で作られているとの説明に、「へえー」と感心の声が上がります。

続いて広島や西条のお酒についても興味深い話が続きます。石井社長は良いお酒造りの三大条件として水、米、気候の3つをあげられました。こちらの蔵では、水は西条の龍王山の伏流水、お米は広島県産の厳選した酒造好適米(酒米)を100%使用。ちなみに酒造好適米は、ご飯となる食用のお米と違って粒が大きめで、旨味は一切ありません。お酒造りに必要なのは米のでんぷん。旨味はお酒の雑味として邪魔になってしまうのだそうです。また西条のお酒がおいしいもう一つの理由として、「西条盆地では午後3時頃になると気温が下がります。涼しい風が、発酵するときに出る熱の温度をおさえてくれます」と、酒造りが気候と深くかかわっていることを教えてくださいました。

酒蔵見学

続いて第五号蔵へ行き、副杜氏の東さんの案内で酒蔵見学を行いました。まず清潔のため頭にキャップをかぶります。 お酒造りは、お酒の原料となる精米された酒造好適米に、水を吸収させる洗米という作業から始まります。精米具合や気候によって お米の吸水力が変わるため、水から引き上げる時間を秒単位で調整するそう。しかもムラにならないように、少量ずつ小分けにして洗 米するとのこと。繊細で丁寧な仕事に驚かされます。水を吸わせたお米は外硬内軟(がいこうないなん)に近い状態に蒸し上げ、麹を 作る部屋、麹室(こうじむろ)へと運びます。

亀齢酒造にはむろが2つあり、大きなロットを作る時に使う全自動の麹室を見学した後、昔ながらの古い麹室へ。板張りの上に蒸し たお米を3センチぐらいの厚さに広げて麹菌をまぶして手で揉んでいきます。それをもろぶたといわれる小さな箱に入れて3段に重ねて置いておき、温度のムラができるため夜中も2時間ごとにもろぶたを積み替えます。「小分けした分だけ手間もかかりますが、良い麹を作ると良い酒ができます。麹は酒の味を決める重要なものです」と東さん。ちなみに麹室の構造も熱が循環しやすく、入口から熱が逃げにくいといった工夫が施されているそうです。

酒母室では、蒸した米や麹、水を用いてアルコール発酵に必要な酵母を増やしていきます。続いて仕込みを行なうもろみ発酵室へ。大きなタンクがずらりといくつも並んで壮観です。このタンクの中で、麹がでんぷんを糖に変え、その糖を酵母が食べてアルコール発酵させ、いよいよお酒が生まれます。炭酸ガスも発生するため、タンクの中は白い液体がブチブチと泡立っていました。「低い温度で長く発酵させると雑味の少ないきめやかなお酒ができます」という東さんの説明に、西条の気温が適しているといった社長の言葉を改めて思い出します。最後にアコーディオンのような自動しぼり機の見学。ここで酒かすと酒に分類していきます。酒はこのあと、ろ過や火 入れ、ブレンド、瓶詰めなどが行われて、貯蔵熟成して出荷されます。東さんから杜氏のお仕事についてのお話も伺いました。酒造りは10月~4月。その間、夜も頻繁に起きて作業を行ったり、早い人は朝の2時半に起きたりと大変な重労働であることが分かりました。そんな大変な中でも「良い品質のお酒を造りたい」と酒造りへの思いを熱く語ってくれる東さんに、皆さん感動していました。

試飲タイムと和やかな懇親会

見学の後は、試飲タイム。3種類の酒がラベルのない容器に入れられ、試飲して好みの味を選びます。お酒はこの酒蔵限定の「吉田屋の酒」、「しぼりたて」、純米大吟醸の「亀香」。それぞれ味わいが違うと驚きながらお好みを選んで、最後にそれがどのお酒か知り、盛り上がりました。その後は併設する「万年亀舎」(まねきや)でお買いもの。お酒のほか、さまざまな酒グッズが並んでいます。やはり一番人気を集めたのはお酒。皆さん自分はもちろん家族や友人たちの顔を思い浮かべながらお酒を選んでいました。

最後は近くの「割烹掬水」に舞台を移して懇親会が行われました。日本庭園を眺めながら旬の味わいを堪能できる日本料理のお店です。こちらのお店では、料理に使うお水や「やわらぎ水」は亀齢酒造の仕込み水が使われています。懇親会では石井社長のあいさつのもと、「吉田屋の酒」で乾杯。社長や女将と一緒に卓を囲み、日本酒やお酒に合う料理を味わいながら、酒にまつわる話に花が咲いて盛り上がりました。本日のお土産は亀齢酒造のお酒とともに「すっぴんきれい石鹸」。この石鹸は酒かす入りの無添加の製品で、お肌をつるつるにしてくれます。

編集後記

参加者の皆さんに感想をお聞きしました。「日本酒造りについて知ったことで、今後はよりお酒を楽しめそう」「酒蔵を見て面白かったし説明も分かりやすかった」と有意義な一日に大満足の様子。今後は、よりいっそう味わい深く日本酒を楽しめそうです。

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