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2020年3月18日リポート

「2020年度蔵見学会」の模様をUPしました。

2020年2月16日(日)

広島県酒造組合では、毎年新酒の仕込み時期に広島県の酒蔵を見学する『蔵見学会』を実施しています。今年は2月~3月にかけて、 賀茂泉酒造(東広島市)、亀齢酒造(東広島市)、三宅本店(呉市)、賀茂鶴酒造(東広島市)、藤井酒造(竹原市)の5つの蔵で行います。そ の中から、2月16日(日)の賀茂泉酒造の蔵見学会を紹介します。

広島の酒処として知られる西条の地にある賀茂泉酒造は、大正元(1912)年の創業。昭和40年代に米と米こうじのみで造る純米酒の 醸造を全国でいち早く始め、純米酒のパイオニアとなりました。広島杜氏伝承の三段仕込みの伝統を守りながら醸した賀茂泉は、活性 炭素ろ過を行なわず、米の旨味の芳醇な味わいと、日本酒本来の山吹色した酒として親しまれています。

今回の見学会は女性限定で16名が参加。まずは酒造りについて映像を鑑賞し、杜氏さんから酒造りについての話や質疑応答があり、日本酒の知識を深めました。酒蔵を見学した後、昭和初期に建造された洋館「酒泉館」の2階で懇親会。器の違いによる飲み比べを楽しんだ後、女将特製のおつまみや西条名物「美酒鍋」をいただき、賑やかで楽しいひと時を過ごしました。

賀茂泉の酒造り (映像鑑賞)

酒名の「賀茂泉」は、地名の「賀茂」と仕込み水に用いた、蔵元所有の山林にある名水「茗荷清水」から命名されました。そして戦中に失われた日本酒本来の姿を求めて、米・米こうじだけで仕込む純米酒造りに取り組み、昭和46年に『純米醸造 本仕込賀茂泉』を醸造、 発売しました。

酒造りは、米粒の外側の不要な部分を取り除く精米、米を洗う洗米、米に水を吸わせる浸漬、米の蒸し、こうじ造り、酒母造り、こうじと蒸米と水を合わせる三段仕込みといった数々の工程を経て完成します。

仕込み水は西条北部の龍王山から湧く、中硬水を使用。原料米には「広島八反」「山田錦」「千本錦」など広島県産のみを使い、日本酒の伝統的な手法を大切にした酒造りを行っています。新谷杜氏さんからは、「西条では酒蔵通りを中心にした街道筋の水質がとくに良いため、この周辺に酒蔵が集中しています。歩いて回れる範囲内に、7軒前後もの酒蔵があるのは大変珍しいことです」とのお話がありました。広島県内外の方々に大いに自慢したいですよね。

質疑応答タイム

質疑応答では、杜氏に女性がいないのか、杜氏はどういう形で仕事をしているのかといった質問がありました。昔は体力的な問題 もあり、女性杜氏はほとんどいませんでしたが、今は女性杜氏も増えていること、また、「今では社員杜氏も増えましたが、昔は 農業や漁業に携わる人たちが、その閑散期に半年間泊まり込みの手稼ぎに来て、杜氏として働いていました」と新谷さんから回答いただきました。

そのほか、飯米に比べて、粒が大きく粘りが少ないといった酒造好適米の特徴や、日本酒の発酵方法についての説明もしてくだ さいました。日本酒の発酵は、米のデンプンを糖に分解する糖化とその糖をアルコールに変える発酵が、一つの容器の中で同時に 進行する並行(併行)複発酵とのこと。日本酒の持つ奥深さを改めて感じさせられました。また、シャンパンのような日本酒についての質問では、瓶内発酵という手法やもろみの活性にごりなど、酒蔵により様々な手法があることも分かりました。

仕込蔵を見学へ

キャップをかぶり、新谷杜氏さんに案内されて酒蔵見学へ。ステンレスタンクがずらりと並ぶ明るく清潔感がある仕込蔵を見学しました。すべてのもろみが低温発酵できるように、独自の温度管理システムが導入されています。仕込み中であるタンクの中をのぞき込むと、少しブクブクと白い泡がたっています。参加者の方々が、実際に櫂(かい)棒を手にしてタンクの中をかき混ぜると、その深さに驚いていました。初添、おどり(仕込み休み)、仲添、留添と4日間で3回に分けた伝統的な三段仕込みが行われています。

お酒と料理を楽しむ懇親会

見学会の後は、酒泉館の2階で懇親会がスタート。食事とお酒を楽しむだけでなく、お酒の器の違いによる飲み比べや、お酒と肴の話も交えて、実りのある楽しい会になりました。

まずは利酒師の中原さんから、器の飲み比べで味の違いを体感してほしいというお話があり、お猪口と日本酒芳醇グラスで純米大吟醸「皇寿」を飲み比べ。お猪口で飲んだ後に、グラスで飲むと、日本酒本来の香りや米の味わいをよりダイレクトに感じることができ、「すごく香りがいい」と、皆さん驚いていました。

この日、用意されたお酒は燗酒も含めて9種類。代表酒である「朱泉本仕込」やフルーティな「造賀純米生酒」、立春の朝に搾ったばかりの「立春朝搾り」、リキュールの「純米梅酒」などバラエティ豊かな銘柄が並びました。

女将特製の酒の肴も今回の目玉の一つ。女将さんが、「いろんな食材に日本酒が寄り添い、包み込み融合していく所が、気に入っています」とおっしゃった通り、日本酒とおつまみの融合で大いに楽しむことができました。まずは同じ食材の肴を和と洋の味付けで楽しむ趣向があり、じゃがいもはチーズ焼き(洋)と酢の物(和)、カキはオイル漬け(洋)と赤みそとお酒の煮込み(和)が用意されました。それぞれの特徴を活かした味の違いに、皆さん感嘆しながら食べていました。そのほかにも魚のトマトソース、コノシロの刺身、オリーブオイルと塩を添えた豆腐ほか・・・と、料理と美酒に歓声が上がります。女将さんとおつまみ談義を楽しんだり、中原さんから日本酒度など酒の知識を教わったりと、日本酒好きにはたまらないひと時に。さらに西条名物の美酒鍋の実演もあり、その後もかす汁の吟醸 クリームシチュー、さつまいもと栗のきんとん、酒かすムースなど、酒と料理との意外な組み合わせや日本酒のスイーツなど、皆さん最後まで日本酒とおつまみのコラボに酔いしれていました。

編集後記

最後は、1階のショップでお酒を購入するなど買い物を楽しみました。参加者の方々は「日本酒と料理の意外な組み合わせが良かった」「楽しかった」と大満足でそれぞれ帰途に。今回、日本酒の奥深さに加え、料理との相性も含めて様々な日本酒の楽しみ方を知ることができました。蔵元から頂いたお土産の「貴人(あてびと)グラス」で、家でも日本酒を楽しんでくださいね。

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