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2023年4月5日リポート

「2023年度蔵見学会」の模様をUPしました。

広島県酒造組合では、毎年新酒の仕込み時期に広島県の蔵元を見学する「蔵見学会」を実施しています。ここ2年はコロナ禍で中止 していたため、久しぶりの見学会となりました。今年は1月28日(土)の西條鶴醸造から始まり、賀茂泉酒造、亀齢 酒造、賀茂鶴酒造の東広島市西条にある4蔵で行われました。その中から3月18日(土)に行なわれた賀茂鶴酒造の見学会の様子をご紹介します。

賀茂鶴酒造は会社設立に先立つ明治6(1873)年に酒銘を「賀茂鶴」と命名しており、今年で創業150周年を迎えます。昭和33(1958)年、業界に先駆けて発売された大吟醸「特製ゴールド賀茂鶴」は、平成26(2014)年に来日したオバマ米大統領(当時)にもふるまわれて話題となりました。平成28(2016)年に広島で開催されたG7外相会談の際には賀茂鶴で乾杯が行われ、今年、令和5年(2023)年3月に日韓首脳会談のため来日した韓国大統領との会食でも賀茂鶴が提供されています。

今回の蔵見学会には21名が参加。石井裕一郎社長のあいさつに続いて日本酒の製造工程を紹介したDVDを視聴した後、杜氏の沖永さんの案内で八号蔵を見学しました。懇親会はレストラン「佛蘭西(フランス)屋」で開催。酒造りの要となるきき水に挑戦し、その後食事と酒のペアリングランチを満喫しました。

賀茂鶴の酒造りについて

まずは石井社長より創業150周年を迎えるというお話があり、「楽しんでください」と歓迎のあいさつを受けました。続いてDVDを視聴し、賀茂鶴と日本酒の製造工程について学びます。賀茂鶴の名前の由来は、旧地名の賀茂にお酒を造る意味の「醸す」を掛け、縁起の良い瑞鳥を意味する鶴と組み合わせたものだとか。米を洗うところから50日間かけて作られる日本酒の製造工程も紹介されました。参加者の皆さんは酒造りの奥深さを知り、酒蔵見学に期待が高まります。

杜氏の案内で八号蔵見学

続いて、杜氏の沖永さんの案内で八号蔵へと向かいました。八号蔵は賀茂鶴の蔵の中でも、「ゴールド賀茂鶴」など高級の手作り酒をつくる蔵とのこと。今回は、実際の酒造りは終わっており見られませんでしたが、沖永さんが現場で分かりやすく解説して くださいました。

各自頭にキャップを被り、中へと入ります。日本酒はまず洗ったお米に水を吸わせてこしき(甑)という米を蒸すための桶で蒸しま す。酒造りに使うお米は雑味となる表面のたんぱく質を削りますが、賀茂鶴の大吟醸は32%になるまで削ります。沖永さんから「32%にするために100時間ほどかかります」と聞き、お酒造りには目に見えないところで時間をかけていることに皆さん驚いていました。 また、賀茂鶴では木のこしきにこだわっていますが、今ではこしきを造る業者が一軒しかないため、賀茂鶴では大工と若手が桶づくりを習得しているそうです。

次に酒の神様が宿るともされる麹室へ。蒸米に種麹をふりかけて麹造り工程です。この麹の出来が酒の品質を決めるので細かい温度管理が欠かせません。途中からは小分けにして昼夜問わず3~4時間ごとにかき混ぜ温度を均一化します。

続いて酵母を増やすための酒母を造る部屋へ。酒麹、蒸米、水に酵母を加えてタンクの中で発酵させます。この酵母にもバナナやリンゴの香りがするものなどさまざまな種類があるそうです。

次はもろみ造りの工程。酒母と麹、蒸米、水をタンクに入れて、アルコール発酵させるのがもろみ造りです。この部屋には多くのタンクがずらりと並びます。1日目の仕込みが初添え、2日目は休み3日目の仕込みを仲添え、4日目の仕込みを留添えと呼ぶ三段仕込みで行います。タンクはかなり深く、かい棒でかき混ぜるのは重労働です。沖永さんがかき混ぜる実演を見せ、参加者の1人が代表して挑戦し酒造り気分を味わいました。

このほか「やぶた」という自動しぼり機も見学。ここでお酒と酒粕に分けられます。なお、2500キロ使ったお米のうち約700キロが酒粕になるそうです。

皆さん、酒蔵を見学してお酒が細かい工程を経て作られること感動していました。

懇親会できき水とペアリングランチ

続いて懇親会は2021年12月にリニューアルした賀茂鶴直営のレストラン「佛蘭西屋」の2階で行われました。同店は町屋をイメージしたおしゃれな作りで、和洋食はもちろん、日本酒とのペアリングが楽しめるお店です。まず、きき水が行われました。「賀茂鶴が使う仕込み水」とイタリアの水「クールマイヨール」の飲み比べです。皆さん仕込み水の方は柔らかさが特徴という説明を聞いて、口の中で味を確かめます。そして挙手を募ったところなんと全員正解。見事でした。

続いてお待ちかねのお酒とお食事タイム。今回はペアリングランチということで、賀茂鶴のお酒と料理とのマリアージュを楽しみました。メニュー表には酒とメニューのペアリンクが色分けで紹介。賀茂鶴の営業本部課長の天畠さんから「生囲い純米」のお酒は塩味のきいた魚介がおすすめという説明を受け、「帆立と木耳の山葵和え」、「青菜と烏賊の塩辛和え」などを味わいます。「酒粕チーズ豆腐」や「純米酒梅酒で漬けた梅酒梅のだし煮」など酒蔵ならではの料理も満載。料理とお酒の相性の良さや意外な組み合わせにお酒も進み、参加者同士、あるいは沖永さんも交えて酒談義に花が咲いていました。

なお、賀茂鶴酒造には一号蔵を改装した見学室直売所があります。ここでは酒造り道具の展示コーナーのほか、お酒やグッズを販売。試飲コーナーもあり飲み比べもおすすめです。参加者も試飲やお買い物を楽しんでそれぞれ帰途につきました。

編集後記

「酒を飲むのが楽しみになった」「杜氏の方とお話できてよかった」と大好評だった蔵元見学会。佛蘭西屋ではペアリングのお酒と料理が楽しめると知り、利用したいという声もあがっていました。

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